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2016/03/08

(追加編小話)☆29 補機

 「補機」というと、主機が動かなくなった時に、補助的に動かせる動力源のように聞こえる。 実際最初に聞いた時には、私自身そう思った。 でも、補機とは発電用原動機のことで、船の推進力には直接影響を及ぼしてはいない。 ただ、最近は発電機で得た電力をモーターに伝え、そのモーターがプロペラを回す、いわばハイブリッドな船が出てきている。

 でもハイブリッドは省エネになっているかというと、一番効率の良い負荷の回転数で回して発電する車と違って、そうとは言い切れない。 負荷変動がない穏やかな海での船では、一番効率の良い回転数で主機を回しているためである。 一度発電機を回してからモーターを回すので、どうしても効率が悪くなってしまう。 実際、H丸では同じぐらいの主機出力の船と比べて1ノット近く速力差がある。

 当然利点もある。 補機を何処に配置しても良いので、機関室のある船尾の形状を自由に出来、また、複数台を設置するので比較的振動が少なく、騒音も少なくなり、エンジンの分解整備も楽になる。

 コンテナ船では、冷凍(リーファー)コンテナを積載する場合があり、その場合、船から電源を供給されてコンテナ内の冷凍を維持する。 この電力も補機が担うが、コンテナによっては適用する電圧、周波数が違い、時には戸惑うことがある。 各国で使用する電気は異なるため、岸壁での保管中や、船舶での輸送中で、それぞれの電力を調整する必要があるためである。 勿論、冷凍機が働かず、中の食品等が腐ってしまった場合。責任の追及も発生する。

 船で使用する周波数は60Hzであるが、陸上では50Hzを使用している国も多く(特にヨーロッパ、逆に北米では60Hz)、両方を使用すると言うややこしい日本という国もある。 そして同じ日本船でも国際航海に出る船舶は400V仕様が殆どであるのに、国内を巡る内航船は200V仕様が多いという、けったいな状況もある。 400Vの方が電線ケーブルが細くてすむのだが、どうも船員の400Vへの恐怖が底流にあるようだ。 感電死する危険性はあまり変わらないのだが、この電圧の感覚差にも痺れる~。 願わくば一万ボルトの瞳にしびれたいが、、、

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