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2016/03/08

(追加編小話)☆31 船級協会

 船の外板に穴が空いて沈むなどと言うことは以ての外であるが、船の主機関も故障すると、舵の効きが悪くなり、衝突、座礁、漂流等の危険が高くなるので、公的検査機関により定期的に検査を受ける。 この船級協会の検査に通らないと、船の堪航性(運行能力)に欠けると判断され、船舶保険に入れないので、総ての船舶がいずれかの船級の認定を受ける必要がある。 この場合日本国政府の検査・認定は、内航船では問題がないが、国際的に見てあまり権威がなく、諸外国ではきちんとした公的機関として扱われない。 日本で、国際的に認められているのは、民間の日本海事協会(NK)で、イギリスのロイド、やノルウェーのDN(ノルスケ)、フランスのBV、アメリカのABS等と並び、特に国際的権威の高い船級協会として著名である。

 この船級協会というのは、18世紀後半の貿易が盛んであった頃、船の保険を扱っていた業者が、ロンドンのとあるコーヒー店に集まり、話し合っていて生まれたのが最初であり、ロイドというのは、そのコーヒー店の名前である。 ではなぜ、船級協会が出来たかというと、その頃の時代は、新大陸への移民と植民地化が進み、海運は膨大な交易で潤っていた反面、私掠船や海賊に襲われたり、強度もなく不十分な装備で航海し、海難で沈没する船も多かった。
 当然、ぼろぼろの船を誤魔化して保険を掛けた後、わざと沈めて保険金をせしめる輩も後を絶たなかった。

 船級協会の検査対象は、船体外板、構造、主機関等の主要部の他に、救命艇や装備品など広範囲に及ぶ。 しかし、それぞれの船級協会ではその規格はそれぞれ異なる。 昔ある時、NKなら審査には通らないと思われるほど貧弱な船が京浜に来た。 フレームは紙のようにペラペラで、外板もハンマーで叩くと穴が空きそうであった。 積荷は@15t前後の鉄のコイルを2000t強、夜間の積込監督は私が行い、翌朝先輩に引き継いだ。  翌夕刻、ワイヤーでコイルを縛り付けて固定し、台湾の高雄に向けて出航したが、3日目の未明に、鹿児島南西部で消息を絶った。 先輩が海上保安庁の事情聴取を受けたが、積付には問題がなく、船体の老朽化による強度不足が原因と推察された。 なお、残念ながら、多くのフィリピンクルーが犠牲となった。 おぉぉ、サンタマリア!

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