« (追加編小話)☆26 バウスラスター | トップページ | (追加編小話)☆28 主機 »

2016/03/08

(追加編小話)☆27 フィンスタビライザー

 船に揺られると気持ち悪くなる船酔い、これに弱い人は少なくありません。 船酔いに強くとも、船の揺れが大きくなれば、貨物の荷崩れ等を引き起こし、船にとっても良いことではありません。 この揺れを押さえるのにアンチローリングタンクと言うものがあります。

 アンチローリングタンクは、ただ単にタンクに水を半分ほど入れたものですが、船の揺れと、タンク内の水の移動との位相が90°ずれることによって、ローリングの力を少なくしようとするものです。 力のモーメントを大きくとるため、船の上の方にタンクを配置し、速度調整は水の移動ではなく、空気の移動量を抑えることで制御しています。 船の揺れは収まるけど、パイプの中を流れる空気の音が結構うるさいらしい。

 アンチローリングタンクが速力に関係なく、揺れてから効き出すのに対して、ある程度高速で動いている時に、効力が出て来るのが、フィンスタビライザーである。 船の横に翼を突き出すようにして、船が揺れようとした動きに合わせて角度を変え、揺れとは常に反対側に力が働くように制御しているものです。 大型の客船やフェリーでは、乗客に不快感を与えないために装備していることが多く、少々の波浪中でも快適な旅が期待できる。

 2014年、朝鮮半島南西部で起きたフェリーの海難事故では、このフィンスタビライザーがあまり役に立っていなかった様である。 操舵で大きな舵をとり急回転すると、最初は舵の抵抗で少し内側に傾くが、船が円を描くようになると遠心力で船が外側に傾く。 そのモーメントは速度の2乗で半径に反比例するため、かなり大きい。 このS号の海難も東南方向に10kt以上で向かっていたのが、180°右転し終わる頃に5ノットに減速していたと言うから、その速度減速分のエネルギーを左に傾くことで相殺されていたハズである。 とても、フィンスタビライザーがこなせるエネルギー量ではない。

 フィンスタビライザーがあるからと言って、大きな舵をとってはいけない。 練習船でも5~7°までの範囲で舵をとり、それ以上、舵を回すとどやしつけられた経験がある。 数百名の犠牲者を出す前に、船の挙動、性能をしっかり掴み、操船の舵取りをして欲しかった。 船が傾いた後の対応も悔やまれてならない。 海で亡くなられた方々のご冥福を祈ります。

|

« (追加編小話)☆26 バウスラスター | トップページ | (追加編小話)☆28 主機 »

船って何だろう」カテゴリの記事

船の昔話」カテゴリの記事