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2016/02/15

(追加編小話)☆20 渦

 流体力学を学びだしてすぐに習った、「粘性のない理想の流体の中では、物体は力を受けない!」という「ダランベールの背理」には衝撃を受けたが、実際の水には粘性があるので、船が動けば、当然、水からの粘性抵抗を受ける。 乱流のない流体中(層流)では、流速と船の長さ、重力に一定の関係があり、フルード数(F=V/√(L・g))という無次元の係数を使うことが出来る。 つまり、船型が同じであれば、流速と抵抗の比例関係で、模型での試験から実際の船の速力を類推できるというものである。
 経験的には、船の出力は速度のほぼ3乗に比例する、つまり、同じ船型であれば、出力を2倍にしても、速度は2の三乗根=1.26倍にしかならない。 船の速度を上げるには、主機関の出力を上げるよりも、ただ単に船の長さを長くするだけで速度は上がる事に驚く。
 これが、渦巻くような流体の中(乱流)では様子が一変し、計算も何も出来ないので、鳴門の渦潮の観光船も渦の近くには行くけれど少し間をとっているのは安全を保つためである。 乱流が発生すると、推進力がなくなったり、抵抗となったり、また飛行機では空に浮かんでいるための揚力がなくなったりする。 層流と乱流の境界は渦の発生の有無であり、有名なのは左右交互に発生するカルマン渦といわれるものである。 渦が発生すると推進の抵抗になるので、これを逆手にとって、舵の後に少しだけ発生させて抵抗とし、船の保針性(まっすぐ進む性能)をアップさせた舵の例もあるが、やはり渦の発生は嫌われる。 

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