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2016/02/06

公開 (追加編小話)☆11 船体

 最初の船は木を組んで作った筏か、草を束ねたパピルスの船あたり、そして木を加工するようになってからは、丸太の中をくり抜き、人が乗れるようにした丸木船あたりが、次の造船技術の進化形と思う。 木板を底に敷いて合わせた和船などの平底船では、あまり大きな船は造れなかった。 更に大きな船を造るようになって、キール(竜骨)と呼ばれる強い部材を船底の中心に敷き、そこから左右均等に湾曲したフレーム(肋骨)を配して、船体の骨組みを整えた。 外板はフレームの外側にアッパーデッキ(上甲板)まで貼り付けられ、船の外形が出来上がる。

 船を鉄で作るようになっても、基本的にはこのフレーム構造は変わらず、キールが太い木材から、厚い鉄板に変わり、フレームも外板も薄い鉄板に変わっただけである。 造船業では当然の事ながら、フレームの外側のラインに関心が集まり、実際に水に触れる外側の体積にはあまり重きを置いていない。 これが、船を使って実際に貨物を運ぶ海運業界と、運べる船を作ればその時点で仕事が終わる造船業界との差であろう。 その差は板一枚分である。 その板には名前が付いており、中央のぶ厚いキールから順に、A板、B板、C板.....と続き、何番目であっても、アッパーデッキと交わる板は、特に力がかかるのでS板と呼ばれ、板厚を厚くしている。

 キールが平(フラット)になった代わりに船の動揺を防ぐため、左右の底の角にビルジキールという長いヒレをつけています。 このヒレの大きさが、船の速度抵抗と、船の動揺防止のキーポイントになるのですが、造船契約書には、新造船の海上試運転での船速を保障しているので、造船所は極力小さくして速度が出るようにしたいし、一方、船を受け取る船長は反対に揺れたくないので、大きくしたい。 設計図の承認の際にちょくちょく揉める項目で、まさしく、水面下のつばぜり合いである。

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