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2016/02/15

(追加編小話)☆17 地文航法

 地文(ちもん)航法とは、地面(陸地)を見て航海する航法で、当然ながら、陸地の見えないところでは使えない。 基本的には山や島、岬、灯台などの方角で自船の位置を知り、目的地に向かう訳であるが、地面だけにとどまらず、気象海象の影響を考慮することも必要である。 いくら距離が近いと言っても、黒潮の強いところを逆らって航走するなんて事はせず、流れが弱まったり、渦になっている沿岸際を航走する方が、燃料も、時には時間も節約になる。 例えば、伊豆半島の御子元島から一直線に紀伊半島の串本まで航走した時、途中で三重県の大王崎に近づいたとしても1マイル(海里)と変わらない。 2~3ノットの黒潮にまともにぶつかるよりは、0.1ノットでも少ない処を長く航走すれば、すぐ取り戻せる。 鹿児島から沖縄へ向かう時も島伝いに航走するのも同じ理屈。 もっとも東京から沖縄へ向かう時は黒潮の向こう側を直線的に航走するが、、この場合、数日間、陸地が殆ど見えなくなるので、地文航法とは言い難い。
 地文航法でのポイントは陸地が近い=暗礁の近くを通るので、自船の位置をはっきり掴むことが重要。 従って、コンパス(羅針盤)を使って三角測量し、チャート(海図)に鉛筆で位置を記す。 レーダーが普及してからは横着に、どこそこの岬から距離何マイルと読み取って海図に記す人が出てきた。 それでは誤差が大きいから、問題があるとは思うが実用上はあまり気にならなかったようだ。 更にGPSが発達して、自分の航跡が記録されるようになってからは、もう誰も海図に自船の位置を記さない。 当直交代の引き継ぎ時のみ、鉛筆でチャッチャッと描いて「、」である。 ちなみに「、」の句読点は「ちょん」とか「しるす」と読まれ、れっきとした人の苗字(姓)でもある。

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