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2014/11/11

昔話 111 セイル格納

日付変更線を超えて、一日カレンダーが進んだ。 日本まで後10日ほどの行程。 カレンダーに予定を入れようかと考えていたが、日付変更線で1日ずれる事を計算に入れていなかった私、よほど抜けているんだろうか? あははは。
午前の課業が終わり、昼食もとったが、気分的には、海上での練習船実習がもうすぐ終わるので、なにやら寂しいやら、不安やらが溜まってきていて、いつもならボンク(寝台)でゴロリと寝るのが日課なのに、この日は奇妙な感覚にとらわれていた。 友人に、「一緒にマストに上がらないか?」と声を掛けた。
当直士官にお願いしたところ、風も3~5m/secで穏やかで問題ないと言うので、登らせてもらった。 一番上のロイヤルヤードまで来て、改めて全周囲を見渡すと、紺碧の深い海と、透き通った真っ青な空が綺麗に映った。 水平線は本当に丸く見える。 地球の大きさを体で実感、角度的には、東京はあの水面の下、この真下の遙かな距離の向こうに、地球の裏側南米があると想像する。 すると船も自分自身もなんと小さな存在かを思い知らされる。 そして、日本まではずっと機走で行くことを聞いているので、この時間がマストから船を、海を、地球を見る見納めと思うと、胸が自然と熱くなってくる。 名残惜しいが、いつまでも感慨に耽っているわけにも行かず、10数分でデッキに降りた。
上での爽やかな風の音と比べると、なんと五月蠅いエンジン音だろうか、ドコドコと足に伝わってくる。都会に戻ったら、このエンジン音も静かに感じるだろうな。
さて、午後の課業が始まったが、内容はセイル降ろし。 9月で下船する大学生と入れ替わりに、10月からは高専の5回生が卒業航海として乗船してくる。 そのため、コンディションの良い帆に張り替えるのだろう。我々はしなかったが、帆の縮帆もするだろうし、ジブ(前帆)とトプスル(下から二つめの横帆)だけのストームセイルでの航海もあるに違いない。、
我々のような温暖な気候・海象ではなく、冬の荒れた海を実習の舞台とする彼らには頭が下がる。一番厳しい冬の時期はハワイ辺りにいるとは思うが、それまでの間、季節風に吹かれ、荒い波を越えていくのだから、想像するだけでも大変だ。 デッキは打ち込む海水が流れ、洗濯なんか出来ない日も続くだろう。 考えただけで、寒くなる。
ヤードから降ろされたセイルはセイルロッカーに格納された。
代わりに取り付けられるのは、ひょっとして、私がこの夏に縫った帆だろうか?

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