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2014/10/26

昔話 109 アロハ

後数日で9月にはいる。
ホノルルでの1週間はあっという間に過ぎた。
季候も良いし、時々日本語も通じるハワイ、ずっと居たいのは山々なれど、見送りの人たちに手を振って出港です。 普通の出航ならば、次の航海が待っていますが、このホノルルは、この航海最後の港なので、もう、胸はわびしさが一杯です。
出航前の最終点呼に並び、そのまま出航配置に付く。岸壁から離れ、まだアンカーを巻き上げている時に「登艢」の号令がかかり、各自の持ち場に着いたらすぐ、「ごきげんよう」のかけ声がかかりました。ヤードの上で「ごきげんよう」と叫んでいると目に涙が浮かんできます。 またいつか来るだろうその日まで、ハワイよ、ごきげんよう。
とかく、「船乗りの生活は、海が荒れると船が揺れて、下手をすると沈んでしまうから大変でしょう」と言われるけど、そんな時化た海象の航路は取らないようにするし、避けられない時は準備をしっかりしますので、航海は比較的平穏で、大きな不安はないと思う。 しかし、寄港する場所では、人との出会いに心動かされ、内心穏やかでないことの連続である。 そして、別れの時がやってくる。 船乗りにすれば、海より陸がもたらす変化の方が心臓に悪い影響を与える。
学生生活の最後になって、やっとそのことに気づいた。 つくづく、自分ほどトロい奴は居ないのではないかと思う。
フォアロイヤルから降りてきて、甲板に立つと、ちょうどタグボートが離れていくところ。 もうこれ以上、我々を外国に留めておくものはなく、日本に向けてひたすら航走るだけとなりました。
こんな時は、「ご機嫌よう」よりも、こちらの方がぴったり、
アロハ! See you again, some day, my ship will come in!

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