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2014/06/07

昔話 100 クリストバル

メキシコ湾はまだ西の方にひろがっているが、ここクリストバルは北大西洋の西の玄関口。北から太陽の熱線を帆に受け、焼けるような午後、港に到着した。
時間調節のためか、順番待ちのためか、はたまた夜間航行では、危険なのか学生が見学する機会がないからなのか判らないが、運河の通行は翌朝とのこと。つまり、上陸できると言うことであるが、皆の表情を見るとなぜか疲れた顔で、意気込んでいる顔は少ない。
やはり、皆さんニューヨークで遊び疲れ、ここでの元気が残っていないのか? 夜の町に出かける人は疎らだった。次の寄港地は遙か遠くの常夏の島だから、と思って見ても、なかなか脚が動かない。
結局、岸壁周りのコンクリートを踏みしめるだけにとどまった。 聞けば、理由は私と同じ、皆さんお金があまり残っていなかったのだ。
夕食後の自由時間は、ぼけーっと過ごし、帰船してきた仲間たちと大西洋最後の夜を乾杯してボンク(寝床)に入った。
翌朝、朝食も食べきらないうちに総員配置がかかり、閘門の中に入っていく。 3段の閘門を一気に駆け上った時には、壮大なガツン湖と再会したことを喜んだ。 船がゆっくり前に進んで行く、大自然が生んだ地形とはいえ、不思議なものである。
大地をかき集めて大陸が出来、それをつなぐ細い陸路に凹みがあって、まるで和菓子職人がこねた菓子を二つに引っ張って、千切れかかった細い部分に指を入れてへこませているようなものだから、全く持って不思議な地形である。
そんな事を思い浮かべていると、大西洋との別れをきっちりしてこなかったことを思い出した。 卒業しても、ここにこれるかどうか判らないのに、この経験をしっかりと胸に刻んでおきたかったなぁ。
船はまた、狭い隘路に入り、ゲイラーズカットからミラフローレンスへと進んで、とうとう太平洋に出てしまった。
パナマ運河を渡りきってみると、思わず帰ってきたなと感じる、「太平洋さん、こんにちは」と挨拶したくなった。
ここから日本までは地球四分の一周あるが、既に帰宅モード。 大西洋にいたのは1ヶ月ちょっとであるが、潮風も心なしか懐かしい薫りがする。

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