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2014/06/17

昔話 101 セイルワーク

針路を西にとってまだ重要な寄港地もあるが、帆船に乗船して4ヶ月、かなり慣れてきて緊張感が薄らいできている。それに士官の怒鳴り声も少なくなってきた。
朝夕のスターサイト(星測)、モーニングサイト(太陽測)を苦もなくこなすようになってきたし、パナマ辺りで一旦北側に仰ぎみていた太陽を南側に見る様になると、精神的にはホッとする。

ただ、まだまだ暑いし、裸足で歩くデッキは、チークの板目を選び、極力タールの上を踏まないようにしないと熱い。
この日の課業は教室ではなく、デッキの上。白い帆布が並べられ、重なった部分を縫っていく作業である。

右手親指の根本に、皮に指貫の大型判の様な凹みのある金具をつけたものをはめ、長さ10cm太さ3mmの針を持ち、グイと帆布に刺しては、掌の金具で針の尻を押して縫っていく。
糸の太さも2mmほどあり、そのままでは、抵抗が強すぎて糸の通りが悪いので、何回かワックスに糸をこすりつけて染み込ませている。
力は要るし、一針で1cmも進まないので、縫い上げるにはかなりの労力が要る。 縫い始めはちょっと不揃いだが、10針も刺すと少し慣れてくる。

暫くすると、足首のくるぶしが傷むので、タオルを下に敷く、船の向きで日陰になったり、日差しに晒されたり。汗はタラタラと流れ、目に浸みる。
そして口と耳はふさがっていないので、他愛もない雑談が始まる。 でも、あまり長く続かない。 やはり手元の作業が気になるのか。この辺に男女の差が出るんでしょうね。

縫い合わせた帆布のエッジは袋縫いにされ、その筒の中をワイヤーロープが通る。 帆の大きさ、風の強さにもよるが、帆が受ける力はトン単位にもなるので、これぐらいの強度が必要なのだ。
出来あがったセイル(帆)は格納庫行き。

冬の航海は風も波飛沫も荒いと聞く。 私の縫い方が悪くて帆が裂けなければいいが、、、たぶん大丈夫でしょう。

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