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2013/07/02

昔話 88 カリブ海

昨夜はせっかく大西洋に入ったのに薄暗い海面で感激は薄かった。
一夜明けてみると、目的地への時間的余裕からか、機走から帆走に切り替えるという通知があった。確かに目的地へは随分近づいた。あとちょっとである。でも、ここで気を抜いたら遅れてしまうんでないかと心配もする。
案の定、翌日は快晴で無風。俗に言う赤道無風帯である。セイル(帆)は下に垂れ下がり、ハタとも動かない。こんな時、昔は、僅かな風も有効に使おうと、セイルを濡らし、セイルの隙間のを捕らえようとしたそうだ。無風であっても、大洋の遙か沖合からのうねりが船体を揺らし、そのたびにセイルがパタパタと音を立てる。でも、船は殆ど進まない。
予想していたことが現実となった。繰練である。
午後の課業の時間が始まるとすぐ、「パントリーからの出火」から消火訓練、そして総員待避、、、両舷の救命艇をボートダビット(吊り下げ装置)を振り回して、救命艇を着水させ、乗り込む。 船に残るのは、数人の士官と乗組員。 セイルは総帆展帆で垂れ下がっている。
もしここで、スコール(南海の局地的つむじ風)や風がつのってきたら、船に残っている人だけではセイルをコントロールできない。そうしたら、我々は広い海原に置き去りだぁ。 一瞬恐怖心が飛び出す。 我々の手で漕ぐ救命艇の速度はせいぜい3ノットぐらい。風速2m/secの風が来たら、船が流される速度に追いつけないからだ。
わぉ、船があんなに遠くいる。2~30分も漕いだから、1浬は離れているだろうな。 少し心細くなる。 士官達はそういう心配はしないのだろうか? 泳いで行くには大分遠いよ。
休憩のため、ボートを漕ぐのを一旦停めて、波間にゆったりとボートを漂わせる。心なしか、船が遠くの方に流されているような気がしてならない。
でも空は快晴だし、絶好のシャッターチャンスとばかりに写真を撮る。
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さあて、士官の「漕ぎ方用意!」の号令がかかり、またボートは動き出したが、真っ直ぐ船には向かわない。 "俺達もう、疲れているんですが、、、" と言うボヤキには耳を貸さない士官。 「おまえ達の体は鈍っているから、これぐらいで良いんだョ」
士官は鈍ってないのかね?

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コメント

最初から風が止まることは
計算に入っているわけでございますか?
疲れたからと言って
ボートを漕ぐのをやめたら
船には戻れない…
しかし、
ボートって息が合わないと
思った方向へは進まないわけです。
一人でも漕ぐリズムが違うと
それは抵抗力になってしまいますよね。
なんとなく読んでいるだけで
焦るような気持ちになりました。

投稿: にけねこ | 2013/07/07 06時29分

にけねこ<勿論、計算に入っています。
天気予報、次港までの行程の余裕、かなり予測しています。
船のオールを漕ぐ時は、かけ声を掛けています。もし、かけ声がないと、オールがぶつかり、散々まめになります。ホント疲れますが、良い運動です。

投稿: Samson♪ | 2013/07/07 22時58分

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